夏から秋へ 2023.8.23

お盆が過ぎると朝晩涼しくなり、秋の気配を感じる。
岩手の夏が秋に変化していく様子は、私がこちらへ来てから毎年こんなふうだった。

なのに。

今年は、夏が妙にずっと漂っている。
朝、窓を開けても涼しい風は入ってこず、なんだか生温い。
夜になると鈴虫が鳴いているけれど、昼はまだ蝉の声。
車に乗ると車外温度は38℃と表示されている。
午前中の息子との庭散策は地面が暑く、長時間はいられない。

それでも今日は、彼の思いのままに付き合ってみることにした。
ジリジリと太陽の光を浴びながら、私はどこか日陰を探してみたけれど、ちょうど良い日陰が見つからなかったので、車のトランクを開けて日除けを作り、トランクに腰掛けながら彼の散策を見守ることにした。

それが案外気持ちよかった。

お隣さんのお宅の庭に咲いているピンク色の花を背景に、息子が外に干した洗濯物の間をすり抜ける遊びを始めた。

その景色をトランクから眺めていた時に、
ふいに「私は自由なんや」と思った。

なんだそれ。
と思うくらい急で自分でもよく分からなかったけれど、そう思った。感じた。
でも心に風が通って開放されたような気分になった。
外の空気がそうさせてくれたのか。
可愛い花たちがそうさせてくれたのか。

これから秋になるにつれて、風を浴びに外へ出かけられる機会も増えるだろう。
その度に、本来私は自由であること、自由であることは誰にも何にも奪われていないし、これからもずっと私のなかにあり続けることを気づかせてもらえるかもしれない。